東海道五十三次“濱松・冬枯ノ図”のほうき再現プロジェクト

第六話 実現なるか!?JAさんとのほうき草作り

[ ブログ ]  2015/06/19

歌川広重が東海道五十三次を描いたのは1833年、江戸時代の天保4年と言われています。わずか30数年後には明治維新を迎えることになるわけですが、江戸時代の、しかもここ浜松のほうきを再現する・・聞いただけでもなかなか面白そうです。

前回、西尾様や大石様にお話を伺い、ほうき草の栽培方法について一定の知識を得ることができました。浜松地域ならではの問題もあるかもしれませんが、それらをまとめてJAさんとの会議に向かいます。そう、今日は3月12日。JA青年部の皆様のご協力を得られるか、このプロジェクトの運命もこの一戦?に掛かっています。

3月12日、時刻18:45、JAさん駐車場にて。
 

「今日は打って変わって寒いですね。」
「うん。全国的に寒波が来ているらしい。おかげで花粉は控えめだけど。」
「また、花粉ですか。でも今日は元気そうでよかったです。」
「まあね。」
お互い 「・・・・・・・・・・・・」
「そろそろ行くか。いざ出陣って感じだね。」
「はい!」


日中は農作業をしているので、19:00からの打ち合わせとなりました。昼間作業をされてお疲れのところ、セロリやガーベラ、たまねぎなど様々な農作物を育てていらっしゃる農家さん8人と、前回お話を聞いて頂いたJAの吉田様が同席していよいよスタート。

昼間作業をされてお疲れのところ、セロリやガーベラ、たまねぎなど様々な農作物を育てていらっしゃる農家さん8人と、前回お話を聞いて頂いたJAの吉田様が同席していよいよスタート
アズマ工業の紹介及びプロジェクトの説明を済ませた後に、現在の青年部の活動についてお話しいただきました。
 

青年部
宮地様
「後継者問題などで、浜松においても遊休耕作地が多くなってきています。その結果、残念ながら不法投棄が多くなり、街の景観を損なっています。そこで現在、遊休耕作地を使って、農作物を作る再現プロジェクトを青年部として行っています。昨年は小学生と一緒にさつまいもを作りました。」
宮地様 「青年部でほうき草を作ることに関して事前に協議したところ、いくつか問題点があります。腹を割って率直に議論させていただければと思います。」
「こちらこそ、忌憚のないお話を伺いたいと思います。」
宮地様 「ありがとうございます。まず、継続性です。遊休耕作地の再現プロジェクトそのものは継続的に行っていきますが、その年に何をするのかはその時その時の役員会で決定します。」
宮地様 「つまり・・・、来年もほうき草を作るとは限りません。」
「・・・・・・・・・・・・・」
宮地様 「はっきり申し上げます。浜松でほうき草の栽培を復活させることは、数年にわたる可能性もありますが、青年部は毎年役員が変わりますので、ほうき草の栽培が来年も継続できると確約することができません。」

「率直におっしゃっていただき、ありがとうございます。今回のプロジェクトは弊社の120周年記念事業としてスタートしておりますが、いろいろと活動をしてきて、ほうき草の栽培は継続的にやりたいと思っています・・・が、今回このような縁があってこのスタート地点に立てております。従って、(青年部様でほうき草栽培を継続できない時には)その時はその時で考えます。」

宮地様 「分かりました。それからもう一つ大きな懸念点を申し上げます。・・・我々は初めてほうき草を作ります。我々が普段作っているものであれば何ら問題はありませんが・・、ほうき草は作ってみないとその出来上がりが分かりません。品質の保証はできかねます。」
「・・・・・・・・・・・・・」
「我々も正直、作ってみないと分からないと思っております。試行錯誤を繰り返すのだろうと覚悟を決めております。農作物を作るプロの方がほうき草を作って・・、もしうまくいかないのであれば、きっと我々自身が作ったところで到底うまくいくとは思えません。それも問題ございません。」


ここで一気に緊張が解けます。お集まりいただいた青年部の皆様にも笑顔が出てきました。

お集まりいただいた青年部の皆様にも笑顔が出てきました
JA青年部として、その責任を果たすために、事前に入念な議論をしていただいていたこと、またその責任感の強さが冒頭の質問から伝わってきました。その真摯な姿勢に感銘を受けたのは言うまでもありません。

ここからは具体的な栽培方法に話が進みます。
 

「タイでは契約栽培なのですか?」
「はい、そうです。しかしここ数年、こちらが必要としている供給量がなかなか確保できておりません。現地ではほうき草からとうもろこしの栽培に切り替えている農家が多いようです。」
「種まきから収穫まで手作業になるので、なかなかやりたがらないというのが本音です。」
「手作業か・・・・・確かに人の手で刈り取るのは大変だ。」
「ところで、ほうき草の穂は1本のほうき草から何本取れるの?」
「1本です。」
「えっ!1本?・・・それを1本1本刈り取るのか・・これは大変だ。」
「どのくらいの期間でほうき草は収穫できるのですか?」
「種まきから収穫まで約75日と言われています。だいたい5月中旬〜6月初旬ぐらいに種をまき、8月から9月初旬には収穫できるかと思います。50年前に浜松で栽培していた時、収穫の手伝いに行った際にスイカをごちそうになったとOBが言っておりました。」
「ハッハッハ。お前のところのメロンをごちそうしなければならないね。」

(メロン栽培者)
「ついでにメロンの収穫も手伝ってもらえればいいですよ。」


場が和んでくるのがわかります。
 

「ところで、ほうき草はどのくらい伸びますか?トウモロコシの栽培に似ているとは聞いておりますが・・」
「品種にもよりますが、2mくらいまで伸びます。」
「2mか・・結構長いな。それじゃ折れ防止に何かしらの配慮をしなければならないね。」
「はい、タイや日本でも同じなのですが、折れ防止のために一か所に4〜5本まとめてほうき草を植えているようです。」
「肥料はどうなの?」
「種まきをする前に、窒素系の肥料を入れて土を作ります。その後はやはり同じ窒素系の肥料を追肥すると聞いております。」
「なるほどね・・。農薬は?」
「アブラムシ、カメムシ、メイガが害虫としているようです。なので、それに対応する農薬は必要かと思います。」
「収穫までの一定期間農薬を散布してはいけないとか、そういう規則はあるんですか?」
「口に入れるものではありませんので、特別そのような規則はありません。ただ、勝手な推測ですが、トウモロコシの農薬と同じように考えていただいてもいいのではないかと思っております。」


具体的に栽培のイメージを膨らませて下さっている様子。

具体的に栽培のイメージを膨らませて下さっている様子。

「水はどのくらいの頻度でまいているんですか?」
「30cmくらいに伸びるまでは水をあげ、その後はとうもろこしの栽培と同じくらいだと聞いています。水ハケの良い畑の方が充分育つようです。」
「なるほどね、ちょうど種まきの時期から言って・・・梅雨前に植えて自然に任せても十分に育つかもしれない。育てるのが難しい植物ではないようですね。」
「ところで種はどれくらい用意できますか?」
「品種違いで約2万粒です。一か所に10粒くらい入れることを想定しています。我々も浜松の土と気候にどの種が合うかわかりません。そこで複数の品種を準備しました。」
「2種類の種を1つの畑に植えるんですか?」
JA 「2ヶ所畑を押さえていますので、1か所に1種ずつ植えることができます。」
「ほうき草の場合、お互いに影響を受けやすいところがありますので、品種は混ぜない方が宜しいかと思います。」
「畑の場所は?」
JA 「浜松市浜北区上島です。」
JA 「種が飛びやすいということで、ちょっと嫌がる農家の方もいらっしゃいました。周りの畑に飛んでいかないように、充分に距離を取るなど対策をしなければいけないですね。」
「なるほどね。」


色々と質問される中で、作れる可能性が高いと判断していただいたようです。青年部の皆様の質問に回答できないものは宿題として持ち帰ることに。
 

宮地様 「我々はこの事業を青年部の事業として行っていますが、前回、作った後の問題がありました。つまり、それらをどのようにさばくのか、つまり収穫した後のことが十分に検討されてなく、苦労した経緯があります。」
宮地様 「ほうき草を作った後、アズマ工業さんの方でほうき草を全数引き取ってもらうということでよろしいでしょうか?」
Y 「はい。大丈夫です。」
Y 「ただ、金額の方は今の時点で具体的に申し上げることはできません。タイにおいても・・・収穫したほうき草がすべて箒に使えるかというとそうではありません。むしろ使えないほうき草の方が多いのが現状です。」
Y 「箒を作るに当たり、できあがったほうき草を3ランクに選別して、その上で箒を作っています。今の時点で具体的な金額うんぬんは・・・」
宮地様 「そんなに難しく考えなくていいですよ。農作業した後に、ぱぁとみんなでお酒をもって囲む。その酒代やつまみぐらいで考えてもらえれば。ハッハッハ。」
宮地様 「青年部として、ほうき草を作ります。アズマさんも一緒にやっていただけると助かります。」
「ありがとうございます。我々は農業に関してはずぶの素人ですが、邪魔にならないよう頑張ります。」
「ハッハッハ。宜しくお願いします。」


50年の時を経て、浜松での本格的なほうき草栽培。JA青年部様の協力を得て、遂に決定!!

一期一会・・人との縁に感謝しつつ、広重が歩いた東海道五十三次を闊歩中。東海道五十三次で描かれた箒作りにまた一歩近づきましたが、時間となりましたので続きは次回に。