東海道五十三次“濱松・冬枯ノ図”のほうき再現プロジェクト

第十話 収穫の日

[ ブログ ]  2015/08/07

歌川広重が東海道五十三次を描いたのは1833年、江戸時代の天保4年と言われています。わずか30数年後には明治維新を迎えることになるわけですが、江戸時代の、しかもここ浜松のほうきを再現する・・聞いただけでもなかなか面白そうです。

 

前回、7月28日(火)を収穫日と決めて以来、天気予報を毎日見ています。ほうき草の場合、収穫後、三日三晩、天日干しをしなければなりません。乾燥不十分だと穂にカビが生えたり、雨に濡れてしまうと穂が傷んだりして使い物になりません。箒の神様、どうかずーと晴れますように。
 

K 「もう気になって気になって・・、毎日天気予報を見ています。こんなに天気予報を見たことって、あまりありません。」
Y 「自然を相手にするって、こういうことなんだろうね。私もちょっと気になってね。ちょうど漬けた梅を干そうと思って・・、これまた三日三晩、天日干しをしなければならないから。」
「ちょ、ちょっと何を言っているんですか?」
「冗談だよ。梅を干さなければならないのは本当だけど・・。でも(梅を干すタイミングの)土用の丑の日前後は昔からよく晴れるって言われているから、多分大丈夫だと思うよ。昔の人の知恵は、時間の積み重ねの上に出来上がっているから。」
「確かに。1週間予報を見る限り、浜松はずーと晴れています。」
「あとは台風、それから突然の雨、ゲリラ豪雨なんかは気をつけないとね。」

*2015年の土用の丑の日は7月24日(金)と8月5日(水)です。


7月28日(火)待ちに待った収穫です。心配も杞憂に終わり、明日も明後日もその次もずーっと晴れのようです。本日も見事に晴れています、というより晴れ過ぎで、かなり暑そうです。今回もJA青年部の皆様とJA職員の皆様、そしてアズマ社員で収穫を行います。

まずは恒例の写真撮影。今までの努力が報われるようで、みんな張り切っています。
 

7月28日(火)待ちに待った収穫です。


さぁ収穫です。

穂の根元から50cmくらい茎を残して鎌で刈り取りますが、一本の茎から一本の穂しか取れないため、これがなかなかの重労働。
 

「こうやって見上げると結構高いですね。」
JA 「そうですね。でも穂の根元から50cmで刈り取るとなると、手を上げて刈り取らなければならないから、余計大変ですね。」
「タイではほうき草を倒しながら、刈り取っているようです。でも、穂先を傷める可能性がありますので、あまりオススメできません。」
JA 「50cmという根拠は?」
「我々が作っている手編み箒の場合、職人さんや箒の仕様にもよりますが、編み込む際に一定の長さがないと効率良くできません。編み込むのに適した長さが50cmです。」
JA 「じゃぁ、それよりも長い分には大丈夫ですか?」
「はい。」

一本一本計りながら穂を切り落とす非効率性、そして手を上げて刈り取る労力をなくす観点から、まずは刈り取りやすい位置で刈り取ることにして、後で長さを調整することに。

ほうき草の収穫は炎天下に行います。また、ほうき草の背丈がある分、場所によっては風が通らず、ムンムンの状態です。まさに体力勝負!
 

ほうき草の背丈がある分、場所によっては風が通らず、ムンムンの状態です。まさに体力勝負!


刈り取ります。

刈り取ります
風にも負けず、刈り取ります。

風にも負けず、刈り取ります
夏の暑さにも負けず、刈り取ります。

夏の暑さにも負けず、刈り取ります
ほうき草の葉っぱ取り、油断していると指を切ります
収穫完了
収穫したほうき草
種を採取するために、一定量のほうき草はこのまま更に育てますのでこれで収穫完了です!みんな汗だくです。お疲れ様でした。
 

「暑いですね。こんなに大変だとは思いませんでした。」
JA 「今、農作業のほとんどが機械化されているので、久しぶりに私どもも大変でした。」
「そうなんですね。」


ということで、収穫したほうき草の後処理はJAさんの施設をお借りして涼しい日陰にて行うことに。移動の手段が限られていた昔はこの炎天下、ほうき草の後処理まで行っていたことを考えると、ただただ脱帽です。

ほうき草は収穫後、穂を覆っている葉や茎から飛び出ている葉をはぎ取り、その後すぐに種を取らなければなりません。種を残したままにしておくと、種に栄養分が吸い取られ、ほうき草が硬くなったり、ほうき草の色が薄くなったりします。いずれにせよ、これらの作業もまた手作業です。

まずは手分けして地味に葉をはぎ取ります。

まずは手分けして地味に葉をはぎ取ります
もくもくとはぎ取ります。

もくもくとはぎ取ります
ただただはぎ取ります。

地味に葉をはぎ取ります。
ただただはぎ取ります
その後、一定の長さに整え、脱穀機へ。脱穀機は2種類用意いていただきました。足踏み式と稲穂用の自動式。

足踏み式

足踏み式の脱穀機


自動式で脱穀

稲穂用の自動式の脱穀機
 

JA 「なかなか種がうまく取れないですね。時間をおいて脱穀できれば、もっと取りやすいと思うんですが・・・。」
「種に栄養分が吸い取られるので、収穫した今やらないとダメみたいです。」
JA 「そうなんですね。我々が育てている農作物の場合、通常、種を大事にします。だから、種を取るにあたって穂が傷ついても全く問題ないのですが、今回は逆ですね。穂を大事にしなければならないので、自動式の場合、なかなか調整が難しいです。」
JA 「例えば稲穂も・・、刈り取り後、稲をすぐに取らずに一定の時間を置いて取った方が取りやすいんです。」
「ほうき草とお米では真逆ですね。」


とは言え、何とか調整していただけるところがJAさん。自動式でも脱穀が進んでいます。
 

稲穂用の自動式


一方、アナログな足踏み式はアズマ社員とJAさんのコラボレーション。足踏みしながらローラーを回し、突起が複数ついたローラーにほうき草を押し当てることで、種を飛ばしていきます。

穂の根元部分を揃え、それを4、5本束にして脱穀します。

こんな感じです。

足踏み式
地味な割には大変です。

地味な割には大変です
そしていよいよ最終作業、天日干しです。脱穀した穂は品種別に分け、干し竿に掛けます。
 

JA 「タイでの干し方はどのようにしているんですか?」
「タイでは日差しが強すぎることもあり、風通しの良い場所で日陰干しです。干し方は今回と同じように干し竿に掛けていますね。」
「それに突然の雨がやはり怖いので、屋根があるところで干しています。」
JA 「日本では?」
「私が聞いたところによると、土や石の上に並べて天日干しをされているそうです。コンクリートの上だと穂が曲がったりするみたいで・・。多分、照り返しの熱が強すぎるんだと思います。天然ものは一定の時間を掛けて、自然に乾燥させる方がいいようですね。」


日差しがかなり強いこと、そして突然の雨に対応するために、今回は日陰干しで5日間干すことにして、こんな状態で干しています。

こんな状態で干しています
やっと終了です!

収穫した後は時間との勝負。収穫後、穂の葉を剥ぎ取り、種の脱穀、そして天日干しまでを一気に行わなければなりません。連続技でなかなかの重労働でしたが、何とか終了しました。これで一安心です。あとは、乾燥後、ほうき草全体を煮沸して、選別すればほうき草としては完成です。

時間が来たようですので続きは次回に。・・・・・と幕を引く前に、今回残念な結果が一つあります。品種ごとに畑を分けて栽培していましたが、タカキビの畑は収穫せずに廃棄にすることに。出てきた穂を確認したところ、すべて太く硬い穂のため、ほうき草としての適性がないと判断致しました。土づくりから一緒にやっていただいた方には申し訳ないと思いつつ、旅にトラブルはつきもの、ここでへこんだらそれこそ申し開きができないと言い聞かせ、残りの東海道を歩いていきたいと思います。まだまだ試行錯誤が続くかもしれませんが、様々な人に助けてもらいながら力強く歩んでいます。